5日目:再出発




命がけの大脱走の夜を過ごして迎えた朝。いい天気だ。
野盗の死体を片付け、野盗が残していたニンジンや羊の肉を焼きながら今後の予定を考える。
皇帝は私が世界を救う運命にあると言い、何やら貴重なアミュレットを託した。そしてこのアミュレットは決してあの暗殺者集団に渡してはならない、と。
ならばこのアミュレットを持っている私は早かれ遅かれ、命を狙われることになる。




地図で確認したところ、これの届け先であるWeynon Prioryまでの距離はそれほど遠くはない。皇帝が私に何を期待していたかは知らないが、私の役割は今の所このアミュレットの宅配だけだ。あの暗殺者集団が親衛隊の最後の1人を殺害し、皇帝の遺体を調べる前に済ませた方が良さそうだ。
朝食を済ませると、少ない荷物をまとめて出発した。



と、行きたい所だがその前にやる事がある。




皇帝が駆け込んだはずのImperial City刑務所は意外にも静かだった。あるいは、皇帝の死の報せが届いて意気消沈しているのかもしれない。
私はここへ戻ってきたのは、牢屋に入れられる際に預けた武器や防具を取り戻すためだ。見つかったらまた追いかけられるかと思ったが、屋台のつまみ食い犯など誰も気にしていない――覚えていないようだった。




とはいえ、正面から訪問して「昨日捕まったものだが荷物を返して欲しい」なんて言おうものなら、脱走がバレて再び牢屋行きだ。だから荷物はこっそりと回収した。幸い、刑務所の受付はボーっと入り口を眺めているだけで私を警戒していなかった。楽な仕事だとでも思っているのだろう。




難なく装備を取り戻した私は、改めてWeynon PrioryのJauffreに会うため、北西へ向かって歩き出した。Inperial Cityの住民たちは皇帝の死の報せを聞いて悲嘆にくれていた。事件から半日も経っていないのに早い情報だ。
暗殺者集団が私の存在に気づく前に、さっさとこのアミュレットを届けた方が良さそうだ。皇帝もそれを望んでいるに違いない。